青は料理を鮮やかにみせる。ブルーの食器の使い方とおすすめたち。
青い器は料理を美味しく見せる。
夏になると、おすすめしたくなるのが、青い器。「青は心理的に食欲減退効果がある」とはよく聞く話で、食事関係ではなにかと避けられがちな色。しかし私デザイナーの清水は、ここで改めて「青い器」に対する誤解を解いておきたいと思います。
というのも、器が青いからといって無条件に「美味しくなさそう」となるわけではないし、それどころか、青は器としてとても優秀な色だからです。かくいう僕は白い器よりも好んで使っていたりします。
青い器に合う色とは。
基本的に、青には鮮やかな色を合わせると間違いありません。たとえばビビットな赤や黄色、緑などのビタミンカラー。食材で言えばトマトや、パプリカ、たまご、かぼちゃ、フルーツ全般、などなど。
さらに言うと、暖色系をあわせれば大体OK。青の補色は黄色や赤だから、器が背景として暖色系の料理を際立たせてくれる、という感じ。
「補色」というのはざっくりいうと「反対の色」のこと。たとえば青の補色はオレンジや黄色。赤の補色は緑。その色が隣り合わせになると、バチバチに際立って見えるのです。
盛り付ける料理の全体を鮮やかにしないといけない、というわけではありません。ちょっとトマトをのせたりして、鮮やかな色を少し添えるだけでも効果的。
青い器にあう料理。
青と一口に言っても、いろんな青があります。ここからは実際に例を見ていきましょう。 木村硝子店のDishesシリーズの「ink blue」という色は、紺に近い青。青らしい青ですね。この色は落ち着いたトマトソースの赤が本当に美味しそうに見える、優秀な子です。
パステルな青。
同じdishesシリーズの「pistacio green」という色は、青と緑の中間という感じ。「ink blue」もそうですが、クリームパスタ系の黄色を含んだ白がよく合いました。パステルカラーどうしで可愛い、なんというか今っぽいですね。
鮮やかな料理にターコイズ。
昇陽窯やわかさま陶芸などの「ターコイズブルー」は、緑がかった青がとても鮮やか。鮮やかな青には鮮やかな色を合わせるのがおすすめです。
白にもよく合います。特に冷たい素麺やうどんのような涼しげな料理に良いですね。ポテトサラダもよかったりします。
瑠璃色は品がある。
紫寄りの青である「瑠璃色」は、和テイストの食器によく見られる色。上品な落ち着いた色で、意外と万能です。茹でたての青菜の瑞々しさも際立ちます。
青い柄ものは万能。
和の食器は、「呉須」という絵の具で青い絵付けがされたお皿がとても一般的です。素地は磁器の白やベージュであることが多いので、色の組み合わせを気にせずとも何にでも合わせやすい万能型です。
食事をする上で、皿はあくまで脇役であり背景。青い器に限らない話だけど、基本的に料理よりも器が悪目立ちしなければ良いとも言えますね。
料理次第なところも。
ここまで色に注目してきましたが、一方で料理の温度との関係もありそうです。
たとえばターコイズブルーとほかほかの白米を想像してみると、相性が良いとは言えないなと個人的には思います。反面同じ白でも、冷たい素麺やうどんはとってもナイス。
その原因は「涼しさを感じる器の色」と「温かさを期待するご飯」がちぐはぐだからじゃないかなと思います。
さっき「鮮やかな色を添えるだけでも結構いける」と書きましたが、試しにお昼のグリーンカレーにターコイズブルーを合わせてみました。グリーンに五穀米の紫という青にとっても相性の悪い組み合わせですが、パプリカの赤がなんとか善戦しているんじゃないでしょうか。
ゴールドのカトラリーはターコイズに合わせるといい感じに南国のエスニック感が出ますね。これは発見。
余談ですが、グリーンカレーは赤を入れるだけでグッと華やかな印象になりますよね。そう、これが補色効果。
パプリカって煮すぎるとすぐふにゃふにゃになるから今回は入れなくていいやなんて思ったんですが、入れてよかった。色って本当に大事です。
青い器はダイエットにも?
あえて色の食欲減退を狙って、青い器がダイエットに良いと紹介されることもあるようです。でも個人的にはあまりおすすめしません。
色による食べ物への「悪い影響」って、食べる気が失せるだけでなく味も美味しく感じられないんですよね。(極端な話ですが、学生のころに青い水餃子を作ってみたことがあるのでわかります。目をつぶれば食べられましたが)
ご飯が美味しいから食べちゃう人は、きっと食べるのが好きな人です。好きなことを楽しめなくなるのはきっと悲しいことです。美味しくないから食べないというダイエットは、あんまり幸せな方法じゃないし続かないんじゃ…と個人的には思います。食事は栄養のためだけではありませんから。
青い器は楽しい。
僕が青い器が好きな理由は、料理が合うととびきり鮮やかで美味しそうに見えるからです。料理と器の組み合わせを考えるのが楽しくなりました。
青い器は、たしかに白い器ほどどんな料理でも合わせられるわけではありません。でも逆に白よりずっとお洒落に、美味しそうに盛り付けられることも多々あるんです。みなさんもぜひ、気軽に青い器を楽しんでみてください。
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