
KIRI Coffee Canister









コーヒー豆と、嫁入り道具

昔から晴れ着を保管するなら、桐たんす。
時代こそ感じるけど縫製の素晴らしいドレスや、母娘が着た振袖なんかはそれにしまわれてたりする。
思い出がぎゅうっと圧縮されたような引き出し。
何十年も前のいっちょうらが色褪せないのは、なかなか凄いことだ。
意外なことに、これがコーヒー豆にも一番いい。
高温多湿な夏、乾燥する冬。日本の気候は、衣服にもコーヒー豆にも過ごしづらい。
そんな環境から宝物を守ってきたのが「桐」なのだ。
コーヒー豆もデリケート

それも、生鮮食品と言われるくらい。
すぐに飲みきる場合は常温でも大丈夫だけど、3週間〜1ヶ月の期間であれば、冷蔵庫に入れないと味が落ちてしまう。
コーヒー豆が劣化してしまうのには、空気・湿度・光・温度の4つが大きく関わっています。
そこで重要となるのは、やっぱり保存方法。クラフトバックやアルミの袋でも保存はきくけどそれでは不十分。
一番いいのは密封性が高く、遮光性のあるキャニスターなんです。
生きている素材

コーヒー豆の天敵は、水分。
湿度が上がればその分どんどん味が落ちる。温暖湿潤な日本では、季節によって湿度が
コロコロ変わります。
それに対応できるのはガラスでも陶器でもなく、桐だけです。
桐は外気に合わせて膨張・収縮するので
内部の湿気を一定に保てるのが特徴。
そのおかげでコーヒーが傷みにくく、風味や香りを長く閉じ込められる。
だから、日本で使うなら桐がいい。
音にこだわった密封性

きゅぽんっ。という音が品質の証拠。
木と木が隙間なくぴったりと組み合わさっているか、蓋を開けた時の音で職人が確かめます。
形は、昔は薬入れとしても用いられていた「印籠構造」を採用。
二重構造になっていて、高い気密性で酸化を防ぎます。
酸化を防ぐ、素材のチカラ

桐は弱アルカリ性の木材。
一方でコーヒー豆は弱酸性。両者の間で中和が起こり、酸化が進まない。
つまるところ、劣化を防いでくれるんです。
また、桐は多孔質な木材でもあります。発泡スチロールと同じ原理で、空気の層は水分や温度の変化を伝えづらい。
これまた、美味しさを長持ちさせてくれます。
長く付き合うコーヒーグッズ
お手入れは水洗いは避けて、乾拭きか、強く絞った布で拭いてあげましょう。
汚れやすい上口にはステンレスが施されているため、こちらも拭きとって完了。
挽いた後の豆は表面積が広がり、酸化のスピードも3〜5倍になってしまうので、挽く前の豆の状態で保存するのが一番。
美味しさも逃げないし、汚れも出にくいです。桐は、湿気で歪むなどの狂いが少ない材質。
たんすと同様に、長い付き合いができます。
和を慈しむ心を革新的に
昭和25年、朝倉泰一さんが新潟県加茂市にて「朝倉タンス店」として桐たんすの製造をスタートさせました。
それから68年間、桐一筋でものづくりを続け、コンクールでの受賞や、国際的な家具見本市への参加など伝統を守りつつ、アグレッシブさを見せる家具屋さんです。
二つの木の表情
カラーはすべすべになるまで削り込んだ「木地仕上げ」(右)と、燃える寸前で消火する”焙り色付け”を行った「焙煎仕上げ」(左)の二種類です。
焙煎仕上げは手垢がつきにくく、抗菌効果があります。
サイズは100gと200g

コーヒー豆の常温保存はだいたい2週間ほど。
その期間で飲みきる量を目安に選んでみては。
ちなみに、100g=10杯分くらいです。
日本のコーヒーブレイクに

桐箱に宝物をつめる文化。
日本の気候にあったものづくりが、今も受け継がれています。

