今年は茶碗で「米映え」をねらってみよう。
毎年秋が近づいてくると儀式のように、シンプルなご飯のお供で新米を丁重にお迎えしている。
「普段は炊飯器だけど、新米を買った最初のご飯は土鍋で炊く」
「ご飯に合うおかずをお取り寄せして楽しんでいる」
なんて声もあったり、さすが日本国民の主食だけあって新米をVIP待遇する家庭は意外と多いみたいだ。
それなら今年は、いっそのこと新しい「米映え」茶碗を用意して新米をお迎えしてみよう。
いろは茶碗
白地に青い柄の茶碗は「これこそご飯茶碗」という感じがしてたまらない。
よくある茶碗と比べてややすっきりしたフォルムと、気の利いたサイズ感が特徴のいろは茶碗には、日本の焼き物の美味しいところが詰まっている。
波佐見焼
いろは茶碗は長崎県、波佐見町を中心に生産される波佐見焼の茶碗。
カタチはごくシンプルですっきり、石膏の型から作られることから歪みが少なく綺麗な造形で、他のいろんな器にも合わせやすい器用さが魅力。
呉須の絵付け
いかにもらしい焼き物っぽさが無いカタチに表情を与えるこの絵付け。呉須という藍色の絵具で、職人が一つ一つ丁寧に筆を入れていく。
シンプルで歪みの少ない形に対して、深い青の筆跡が唯一無二の個性を与えて完成する。
美しいカタチに味わい深い青の化粧、庶民的な茶碗ながらその出立ちは何とも粋で、洗練されているのに飾らない雰囲気が秀逸な仕上がりだ。
この茶碗にホカホカのご飯をこんもりよそうと「あー、日本人してるなぁ」なんて思えて、白いご飯を食べるのが妙に嬉しくなってしまう。
陶眞窯 4寸マカイ
沖縄の焼き物「やちむん」には分厚くて少しぽってりしたものが多く、この4寸マカイもその例に漏れず、どことなくかわいい形をしている。
ゆるやかな口
先ほどのいろは茶碗と比べカーブが強く、口の部分はフワッと広がっている。
このゆるやかな横顔が化けるのはご飯をよそう時、ドーム形に盛られた真っ白のご飯を柔らかく讃える口、この形が美しい。それに箸も入れやすく、ひたすらご飯にやさしい母性的な作りが魅力的な逸品だ。
沖縄を感じる絵付け
柔らかいアイボリーの上で優雅に広がる絵柄は、本州の焼き物にはない独特の雰囲気があり、沖縄のゆったりした空気の中、日に照らされた花を眺めているような気分にさせてくれる。
そしてこの色彩と真っ白いご飯が生み出すコントラストが、お米をさらにおいしくしてくれる気がする。
カタチと色合い、どんな角度からもやさしく美しく包み込んでくれる様は、まさに沖縄といった感じでたまらない。
自分だけのお茶碗
CRAFT STOREオリジナル IDentityのお茶碗は、その日その時の窯の状態で焼き上がる、偶然の表情が現れた器だ。一つずつ表情の出方がまったく違い、2つと同じ柄ができることはない。
生成色とうぐいす色が淡くまざりあう様には、白米が映えるいかにも焼き物らしい素朴さがありながら、日本画のように美しくも映る。
すっきりと立ち上がりる形は手を添えやすく、男性、女性、子どもと、誰でも使いやすい。
お茶碗は家庭の中で唯一「自分専用」がある器だ。世に2つと生まれないアイデンティティを重ねてみるのも、器との面白い付き合い方かもしれない。
しのぎの茶碗
縞柄というのもなんとなく茶碗らしいくて良い雰囲気だ。
しのぎの茶碗は岐阜県が誇る美濃焼『竹隆窯』で生まれる、小ぶりで持ちやすいサイズ感と温もりのある質感が特徴の一品。
絵付けによる柄ではなく、職人がヘラやカンナで丁寧に表面を削ってラインをつくる、色の濃淡をつくり和食器にモダンな印象を与えてくれる。
古くから伝わる技法を現代の食卓にいかしたデザインが、炊きたてご飯をさらに引きたててくれそうだ。
Pヘリンボーン茶碗
Pヘリンボーン 茶碗は、ツイードなどの「ヘリンボーン柄」を表面にあしらった変わり柄の茶碗。
お椀型といえばたわんだ形が多いけれど、Pヘリンボーン 茶碗は膨らまないシュッと上に広がるフォルムが特徴的。
膨らみのあるお茶碗のかわいらしい印象に比べて、Pヘリンボーン 茶碗はスタイリッシュな印象で、白の陶器のやわらかい風合いとヘリンボーン柄が全体の印象をかわいらしくまとめてくれている。
この絶妙な濃淡と幾何学的な雰囲気で「米映え」を狙ってみるのも良いかもしれない。
新米を楽しむ強い味方
せっかくの新米。お米の保存に適した環境を作る桐の米びつで、素敵なお茶碗と共に毎日のごはんを美味しく楽しみませんか?
米びつの素材である桐は、湿気を吸ったり吐いたりすることで内部の湿度を一定に保つことができる素材。さながら、お米にとって快適な環境にするべく桐が呼吸しているのです。
この秋、新しいお米のお迎えを機に、新しいお米のパートナーをお迎えしてみよう。
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